小児循環器看護Q&A

幼児に対する水分制限はどうすればいいですか

まずは、「何故その水分制限が必要なのか」「尿量(アウトバランス)と輸液(水分以外のインバランスの必要性)との兼ね合い」をアセスメントすることが必要です。そして、幼児の発達にあわせて、その子どもや家族に水分制限の必要性を説明することが大切です。
一日にどの位の水分摂取ができるのか確認し、本人や家族と一緒に1回の摂取量や飲むタイミングなどの計画をたてると良いと思います。
利尿剤を使用している場合などは口渇も強くなるので、可能であればゼリーやアイスクリームなどで口渇を軽減できるような配慮をしてもよいかもしれません。

心電図がよめずに不安ですがどうすれば良いでしょうか

心電図の読解は経験を積んでも難しいものです。まずは、正しい電極の装着の仕方などの基本を学んだうえで、①「正常の波形と速さ」、②その子どもの「平常時の波形」、③その子の「平常時との違い」と、段階を経て理解することが大事です。その上で、致死的な不整脈などの異常な心電図を把握し、人を呼ぶなどの行動をとることができればよいと思います。これは異常な心電図かもしれない、と思えたその感覚が大事なことです。是非その時のモニターを記録に残しておいて、あとで先輩看護師や医師と読解してみましょう。

泣かしちゃいけないって言われるけど泣いてしまうんですけど、どうしたらいいですか

赤ちゃんが泣くのには理由があります。オムツ汚染などで不快なのか、空腹なのか、人肌を求めているのか・・・通常の赤ちゃんの欲求を満たした上で、先天性心疾患の赤ちゃんの場合は、呼吸困難含めた心身の苦痛も検討しましょう。不快を取り除く行為をした上でも不穏状態のような啼泣が続き、循環状態が保たれないようであれば医療行為による鎮静も必要になるかもしれません。

乳児の血圧が測れません

赤ちゃんは血圧が低いので、聴診器を用いた血圧測定では脈の音が聞きにくいですよね。最初は音が聞きにくいかもしれないので、触診やドップラーを用いるのも良いでしょう(その場合、収縮期圧しか分からないため、そのことを明記しましょう)。赤ちゃんが嫌がって動いたりすると、聴診器が上手く血管にあたらないこともあります。測定する間だけ、肘に手を添えて関節を伸ばし、上腕動脈がぴんと張るように保持すると、拍動が触れるのがわかります。この状態で聴診器を置いて測定してみるとよいでしょう。また、血圧測定ができない場合は、足背動脈を触知できるかどうか、上腕の脈の触れ方と足背動脈の触れ方に違いがあるかなどの情報も大切になります。

足背動脈がみつけられません

脈を触知するときは、人差し指ではなく、より感度の高い中指と薬指で触れる方が触知しやすいことが多くなります。また、普段あまり用いない利き手ではない側の指の方が感度が高いこともあるので、試してみても良いでしょう。
指で触れることが難しいようであれば、ドップラーを用いて脈が触れることを確認してみる方法もあります。血管の位置は動かないため、触れにくい血管の位置が確認できたら、その時にテープやペンで血管の位置をマーキングしておくことで、継時的に動脈触知の確認がしやすくなります。

カテーテル検査後に足背動脈を確認するのはなぜですか

カテーテル検査では、鼠径動脈を穿刺していることが多いため、カテーテル侵襲による血管内の血栓や、圧迫固定による血液のうっ滞を確認するために、下肢の血管の状態を確認します。 脈の触知だけでなく、カテーテル穿刺部の出血の有無や安静保持による廃用性症候群にも注意していきましょう。

カテ後に大泣きされました、どうしたらよいのですか

大泣きして困る理由は何かを確認しましょう。カテーテル検査後、麻酔から覚醒する過程で、半覚醒となり意識が混乱した状態になって泣くことがあります。また、痛みや空腹感・不快感などをうまく伝えることができずに泣いていることもあります。バイタルサインの変化やカテ部の出血の有無など確認し、状況に応じて、安静度の緩和・鎮静薬の投与などを検討していけるとよいと思います。

ミルク摂取量制限のある乳児が空腹いて泣いてしまって困ります。どうやってなだめてますか

治療のために水分制限を増やせないことがあるので、これは困りますよね。摂取量に制限があるのであれば、回数・一回量・時間帯などを検討することもひとつの方法かと思います。注入しているのであれば注入時間の検討もできます。 それ以外には、おしゃぶりを使用したり、ホールディングなどのポジショニングを工夫することなどが効果的なことが多いように思います。また、術前後の厳しい水分制限によって啼泣が続き安静が保てず循環動態が不安定になる場合には、鎮静薬を使用することを医師と検討する必要があるかもしれません。

「この子は心臓病だから、絶対に点滴内に小さな気泡も入らないように注意してね」と言われました。理由は何でしょうか。

点滴内に気泡を入れないように注意するのは、先天性心疾患の患者さんに限らず、すべての患者さんに注意すべきことです。血管(静脈)内に空気塞栓ができてしまう可能性があるからです。血圧をモニタリングしたり動脈採血を容易にするための動脈ライン(Aライン、圧ラインといったりすることもあります)を作成するときは、ルート内に微細な気泡も混入することがないよう、細心の注意を払って、液の流れる先を上方に向けてラインを満たしながら、時には、ルートに振動を与えて(カンカンとたたいたりして)気泡を除去します。この理由は、静脈塞栓よりも動脈塞栓の方がはるかに身体に与えるリスクが高いからです。静脈では通常は各臓器へ輸液が流れる前にまず肺を通過するので、多少の空気はそこで吸収されると言われています。それに対して動脈内の塞栓は、即、各臓器への血流遮断の要因となり得ます。最もリスクが高いものが脳梗塞のような状態ですが、塞栓部位によっては腎血流低下、四肢末梢への血流低下など、どこでも血流低下を起こし得ます。先天性心疾患の子どもの場合、静脈血と動脈血がmixing(交流)されていることが多いため、点滴が挿入されているのが静脈であっても、静脈に混入した気泡が肺を通過することなくmixing部位で動脈へ流れてしまうことがあります。そのため、静脈ラインの管理に関しても動脈ラインと同様に厳重な注意を払う必要があります。

心配するお母さんへの対応に自信がありません

お母さんに、何故、何が心配なのかを先入観なく聴いてみてはどうでしょうか。まずは心配な気持ちを受け止めることで、お母さんも少し気持ちが楽になるかもしれません。お母さんの強い心配や不安を解消する方法が思いつかないことも当然あります。その時には、関わっているスタッフと情報共有して、チームで対応を検討してもよいと思います。

先輩に子どものVSD(心室中隔欠損症)の看護を調べておくように言われました。ポイントは何ですか

VSDの看護のポイントは、こちらを参照してみてください。https://kateko.jp/web-teaching/vsd-nursing/

新生児の血圧やSPO2を左右上肢・下肢で測定するのはなぜですか

基本的に、診断されていない先天性心疾患の場合には、左右上肢と右下肢の血圧測定は必要です。
 心室から大動脈を介して四肢への血流が流れますが、そのどこかで狭窄があれば、その狭窄より下の部位では血圧は低下し、狭窄より手前では血圧は上昇します。動脈は、左心室から出る上行大動脈が3つの枝(腕頭動脈・左総頚動脈・左鎖骨下動脈)と3つの枝に分岐した後、下大動脈となり全身へ血流を送っています。先天性心疾患の子どもは、生命を維持するために大動脈と肺動脈をバイパスする動脈管という血管が残存していることがあり、その場合には動脈管の前後での血圧も変わります。先天性心疾患に関わらず、血管病変に気付くためにも、上下肢の血圧を測定してみることは大事なことですね。またSpO2は、動脈管を介した静脈血と左室から駆出される動脈血流の混合の状態により値が変わります。例えば大動脈縮窄複合の場合で動脈管が大きく開存している場合は上下肢の血圧はないこともありますが、SpO2は上肢で高く(>95%)、下肢で低い(<85%)ということになります。

脈圧が狭くなる、広がる、ということはどういうことですか

「脈圧」とは、収縮期血圧(心臓が収縮するときに血液を押し出して大動脈にかかる圧力)と拡張期血圧(心臓が拡張している時の大動脈の圧)の差です。小児の場合は血管の硬化による収縮期圧・拡張期圧の上昇は考えにくいですね。拡張期圧が下がる(収縮期圧との差が広がるので「脈圧は上がる」)のであればAR(大動脈弁閉鎖不全)の増悪(拡張期に大動脈にかかるはずの圧が、弁の閉鎖不全によって左心室に戻る)、敗血症で末梢血管が拡張している状態も考えられます。収縮期血圧が低下している時には(拡張期も一緒に低下しなければ、脈圧は狭くなる)、大動脈狭窄、血管内の血液量が不足する出血や脱水、ショック状態による循環不全などが考えられます。脈圧が狭いということは、心臓が収縮している時の圧力と拡張している時の圧力の差が少ない=身体に必要な血液が送り出せていないと認識して、緊急事態と捉えて行動しましょう。

新生児に酸素投与をしてはいけないと言われました。どうしてですか

どんな状況の時に酸素を使ってはいけないと言われたのでしょうか。先天性心疾患でSPO2が低い場合や呼吸困難を生じている時には低濃度酸素(40%以下)の投与は通常許容されます。ただし、高濃度酸素(100%)の投与はよく病態を理解して投与する必要があります。先天性心疾患の子どもへの高濃度酸素の投与が禁忌になる場合は2つあります。①胎児期にはあって出生後になくなる動脈管という血管が生命を守るために必須な状況な時(動脈管依存性先天性心疾患)と、②肺血流増加型の先天性心疾患の場合です。 ①では、胎児循環の理解が必要です(※「心臓病の基本のき」をご参照ください https://kateko.jp/web-teaching/heart-basics-ki/)。胎児は、お母さんの胎盤からの血液によって換気に変わる酸素と二酸化炭素の交換を行っています。そのため、動脈管という大動脈と肺動脈のバイパスがあります。この動脈管は、出生後に赤ちゃんが自分で呼吸をして肺呼吸を始める(酸素分圧が上昇する)ことで閉鎖する仕組みになっているのですが、どこかの血管が閉塞している場合には、このバイパスが生命をつなぐ役割をはたしている可能性もあるのです。動脈管を開存させておく必要がある先天性心疾患(肺動脈閉鎖、大動脈離断、大動脈狭窄など)の場合には、酸素は使用せず動脈管を開存し続けるように努める必要があります。②の場合、酸素は肺血管抵抗を下げて、肺血流を増加させる作用があるために、使用しない方がよいとされています。

生後5日の新生児の沐浴をしていました。右手でSPO2の測定をしていたので、終了後、左手に付け替えたところ、先輩から右手で測ってと言われました。なぜですか

新生児期では右上肢でSpO2を測定するように言われることも多いと思います。これは、新生児期には動脈管を介しての血液の流れが大動脈→肺動脈となることと、肺動脈→大動脈となることがあり、動脈管より下位の血液の酸素飽和度が変化するため、それに左右されない腕頭動脈(動脈から3本に分かれている3本の枝の最初にある枝で、右鎖骨下動脈と右総頚動脈に分岐する)の酸素飽和度を測定して、脳への酸素化状況を把握するためです。 右手と左手でSPO2が異なる先天性心疾患の場合は、一番酸素飽和度が高くなる場合が多い右手にSPO2をつけてモニタリングすることが重要です。 ただし、右手と左手のSPO2が変わらない先天性心疾患の場合は、必ず右手でなければならないと言うことはありません。実際、右手に点滴などが入っている時は、SPO2測定が困難なことも多く、その場合、左手は下肢でモニタリングすることは日常臨床でもよく行われることです。大切なのは、右手と左手でSPO2が異なる疾患または病態かどうかを事前にきちんと理解把握しておくことです。

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